コラム TAKESHITA SANGYO

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コラム 賢人の思考 ~「働き方改革とワークライフバランス」~

2019.10.07

2017.02.13-22

定年後も大学院で学ばれ、今も研究を続けておられる石川雄一先生に、今流行りの「働き方改革とワークライフバランス」について書いていただきました。

ワークライフバランスが叫ばれていますが、企業経営において一歩間違えば大きな阻害になると私も考えます。売上や従業員のモチベーションの低下といったリスクもはらんでいると思われるからです。

どのようにワークライフバランスをとらえれば良いのか、石川先生から今回学ばせていただきます。

みなさまにとっても共通の話題だと思いますので、ご一読ください。

 

【著者】

石川 雄一 氏

石川様画像

 

【プロフィール】

慶應義塾大学経済学部卒業後、東京海上火災保険株式会社(現:東京海上日動火災保険㈱)に入社。主に国内営業畑を歩み、近畿業務推進部長、札幌中央支店長などを歴任。

55歳で自動車メーカー保険代理店の常務取締役となり、経営と人材開発に尽力。

退任後、大型自動車メーカー関連会社参与を経て退職。

2017年に立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科入学し、2019年3月に修士課程修了。MBA(経営学修士・社会デザイン学)。

2019年4月からは同研究科研修生となり、企業組織に関する研究を継続し、セミナー講師など精力的に活動している。

 

 

◇テーマ  「働き方改革とワークライフバランス」

 

○ワークライフバランスとは

厚労省は働き方改革の目的を「働くひとが、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で『選択』できるようにするための改革」とし、改革の優先課題として「長時間労働の改善」を掲げています。

しかし、その背景にある本音は、労働生産性が向上しない現実や、少子化による労働力不足という企業側にとっての課題ですが、今回ここでは働くヒトの側から考えてみたいと思います。

 

長時間労働を話題とするときにしばしば使われる言葉が「ワークライフバランス」です。これは何を意味するのでしょうか。

あなたのワークライフバランスを絵にしてみてくださいと言うと、様々な形の図が描かれます。大きなライフの円の中にワークの円が含まれたり、二つの円が離れたり部分的に重なったり、また天秤の絵だったりしますが、共通していることは、現時点で感じている二つの関係を図解したものという点です。そこで筆者が感じる疑問は、ワークライフバランスとは今現在の状態を考えればよいのか、それで根本的な解決につながるのだろうか、ということです。

働くひとは一人ひとり置かれている状況が異なります。業種も会社も組織も異なります。性別も年齢も立場も違います。それなのに今現在の課題解決で良いのでしょうか。このような、現在を「輪切り」にしたとらえ方だけではなく、時間軸を加えた、いわば「縦割り」のとらえ方を取り入れることが必要ではないでしょうか。

 

「ライフ」を考えるときには、誰でも将来を想定するでしょう。

今までを振り返り、これからの人生をどう過ごすか、と考えるはずです。

例えばサラリーマンなら新入社員から中堅、ベテランへとのステップがあります。その時、その立場により「ワーク」は変化します。若い社員は早く一人前になりたいと努力するでしょう。仕事が分かって脂がのってきたら、仕事が面白くなり前向きに精力的に取り組むでしょう。中堅になりマネジメントに向かう時、苦労しながら成長していくことでしょう。給料も上がり、地位も上昇し、中枢に向かって努力するひともいるでしょう。

ライフステージによってバランスが異なるのは当然ではないでしょうか。

私事で恐縮ですが、30代半ば仕事が最も充実していた時代、上司からは「阿修羅のように働け」と言われたことがあります(今ならパワハラでしょうが・・・)。その時それは励ましに聞こえたものです。

仕事中はフル回転していましたが、しかしその時も無駄な残業や必要のない休日出勤もせず、密度の濃い仕事をして成果につなげていました。家庭のことは家内に任せきりだったかもしれませんが・・・。

 

○ライフステージという縦割りの絵を描き、ワークライフバランスをとらえる

ワークライフバランスを考えるときには、ライフステージという縦割りの絵を描いてみることが必要だと思います。

ヒトそれぞれ、必ず「働き盛り」の時期があるはずです。気力、体力、能力がマッチして、最も充実し成長する時期です。成功した起業家は寝食を忘れて、誇張ではなく24時間働いた時期があると思います。アメリカの著名な大学院でMBAをとるには寝る間もなく勉強する必要があると聞きます。一流のスポーツ選手は眠る時間を含め、24時間全てがトレーニングになっているでしょう。

我々だって、例えばゴルフを始めて面白くなってきたとき、毎日のように練習場に通い、ラウンド前日はワクワクして眠れない、という経験がありませんか。仕事だってそういう時期があって当然ではないでしょうか。

 

働き方改革を誤解して一律の制限を導入することは、伸びるべきヒトを邪魔する危険性を帯びています。健康管理や家庭との現在のバランスを欠いてはいけませんが、制度を丸呑みして、個人のモチベーションを低下させ、組織のダイナミズムを阻害することは結果的に生産性を高めないことになります。

誤解されては困りますが、決して長時間労働を肯定しているのではありません。

経営者、マネジャー、社員は、それぞれのライフステージをベースにしたワークライフバランス、ととらえてよく話し合い、個人の自律を手助けすること、それが組織の活性化につながると考えています。

石川様画像②

石川先生が主催するMBAラボのメンバー(大学院時代の学友)と。 月1度集まり、学び合う。

2017.02.13-22

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