コラム TAKESHITA SANGYO

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コラム 賢人の思考 ~100メートル走~

2019.12.10

今回は弊社の顧問弁護士である山口勝久先生に、「100メートル走」というテーマでコラムを書いてもらいました。

 

私は従業員に、仕事だけの人間に価値はなく、プライベートも何かに打ち込む、楽しむことが人間の価値を高めるとその都度伝えています。

 

そういう想いもあって、弊社の行動指針の最終項を「つねに学びの姿勢を持ち、自らの人生を充実させる」にしています。

 

プライベートで取り組む何かが、どのように自らを成長されるのか、山口先生のコラムから学んでみたいと思います。ご一読ください。

 

 ※弊社行動指針URL:https://www.r-station.co.jp/company/management_philosophy/

 山口弁護士

【著者】

山口 勝久 氏

 

【プロフィール】

昭和43年9月27日生 弁護士

福島県会津若松市出身

早稲田大学法学部卒業

裁判官任官

岡山地方裁判所(刑事部)配属

横浜地方裁判所川崎支部(民事部)配属

平成17年3月依願退官,同年4月弁護士登録

現 東京晴和法律事務所(パートナー弁護士)

 

【記事】

○テーマ 100メートル走

 

 4年前の4月ころ,息子と一緒に近所の400mトラックで走っていたところ,突如スキンヘッドに口ひげの男から,声をかけられた。

 

「お父さん,いい走りだ。力強い。近々、区の大会があるので出てみませんか?」この一言で,それまで全く経験のない100m走にどっぷりとつかってしまった。

 

なお,それまで,筋トレしか趣味がなかったが,今では,走りがメインとなり,筋トレは,そのための手段として続けている。

 

 さて,その年の5月,生まれて初めてスパイクを履き,「羽が生えた!」とその推進力?に感動したのも束の間,1週間後には右腓腹筋を断裂,1か月の杖生活を余儀なくされた。

 

走り方を知らないのと,土用のピンのままオールウェザートラックを走ったことも一因であり,それほど陸上に関しては無知であった。

 

20歳のころから行っていた筋トレでも,骨折,亜脱臼,筋断裂などの怪我はしていたため,怪我からの回復を早める手法は知ってはいたが,全力で走る,という行為の場合には,心が体に必要以上にブレーキをかける。

 

恐怖心の克服には身体的には回復したはずの時期から,さらに1か月以上を要した。何事も経験である。

 

その年の11月初旬,くだんの区民大会にでたところ,近所のトラックで私を勧誘してくれたスキンヘッドに口ひげの男が,実は,区の40代以上の100mの記録保持者だとわかり,勝手なライバル意識を燃やしたが,無残にも砕け散った。

 

その方は,12秒1で走り,私は,といえば,予選も決勝も12.9秒で4位(いずれも手動計時。なお,手動と電動では,手動の方が,約0.24秒タイムがはやくなるので,電動であれば,13秒を切れていなかったと思われる。)と,当時47歳としては,まぁ,遅くはないのではないか,という程度のタイムで,12秒5くらいでは走れるのではないかと考えていた私は,到底納得がいかず,なにより,上位3名とは大きく水をあけられ,レース後に,上位3名が,「いやぁ,いいレースだったねぇ。」と感想戦をされるのを見て,正直,その感覚が分からなかった私は,口惜しく,私もそう言ってみたい,と強く思ったものである(このときレースに出られた方々とは,現在も親しくお付き合いさせて頂いている。)。

 

 それからというも,陸上関連の動画を見まくり,書籍を読みあさり,ここ最近では,短距離の走り方については既に,カール・ルイス及びそのコーチのトム・テレツの理論で完成されており,その後は,その亜流,傍流である,という結論に達した。

 

人が全力で動けるのは,7秒。これはウサイン・ボルトであっても,その辺のおっさん=私でも同じである。

 

7秒を過ぎたら,減速を免れないのである。よく,「後半の伸び」などというし,実際に後半に抜け出す選手がいるが,最高速度は,ボルトですら60mから70m地点がピークで,あとは緩やかに墜ちている。

 

落ちが少ない,という人(これも結局は最高速度が速い人)が相対的に浮かび上がるに過ぎず,100m走の後半の速度は,必ず落ちているのである。

 

したがって,7秒でどこまで進めるか,という競技が100mであり,最大速度を高める,ということが究極の目標になる。

 

理屈は実に簡単である。ピッチ(脚の回転)とストライド(1歩の大きさ)のかけ算である。

 

ところが,ピッチを上げればストライド(ここでいうストライドは単純な1歩当たりの「歩幅」ではなく,一歩当たりに進む体の距離というのが正しい。)は小さくなり,逆にストライドを伸ばそうとすると,ピッチがおち,しかも,膝下が振り出されると,それがブレーキ動作となって,次の一歩を出すのによりエネルギーが必要となり,後半の失速が著しい,ということになりかねない。

 

自身の体格,筋力にあったピッチとストライドの最適解を探す作業は,大仰ではなく,1歩目から,私の場合54,5歩目までをすべて理想のポイントに接地していき,その再現性を高めるのが100mという競技である。

 

その意味で,100mという競技は,他人との競争というよりも,空手の形,表演に近いと考えている。理に適った動きを,自動化すること,これが究極の目標である。

 

いま思えば不遜極まりないが,「3年以内に11秒台で走って引退?する」という目標を立て,年間数回の大会に出れば,その中でも目標は達成できる,と踏んだ。

 

これは,実に甘い考えで,あれから3年以上が経過したが,未だに11秒台は達成できていない。

 

否,11秒台は,ほど遠い。

 

昨年までは毎年自己記録を少しずつ更新し,電動計時で12.42秒で走ったものの,今年は,12.51秒どまりであった。

 

自身の名誉?のために触れておくと,仕事優先,家庭優先を護るため,いわゆるマスターズ登録はしておらず,年間100mは,4本から5本しか走っていない中での自己記録更新は,まぁ及第点をあげてよかろうと,自分を慰めている。

 

また,3年前に,怪我をされたメンバーの代役として,急遽,前日お呼びがかかり,東京都の市区毎に代表を送って参加する陸上大会の,4×100mリレー(4人の合計年齢が「190歳以上」でなければならない,という絶妙の設定がある。)で,杉並区の代表として出場させていただき(しかもバトンパスに不安があるのでアンカー。),私が参加する以前の3連覇と併せて,今年までの6連覇に多少なりとも貢献できたことも,陸上にどっぷりハマり,抜け出せなくなった一因である。

 

さて,興味のない方には,まったくどうでもよい話であると思われるが,陸上は,仕事にも役立っている。

 

車の両輪,といってよく,探究心や仮説の構築と実践などは,仕事にフィードバックできていると考えている。

 

なにより,陸上を通じて50を過ぎて短距離を走ろう,という血の気の多い仲間が増えたことが,生活に張りを与えてくれている。

 

2021年5月には関西で,アジア初のワールドマスターズゲームズが開催されるが,それに,上記杉並区のリレーメンバーで4人の年齢合計200歳以上のカテゴリに出場し,メダルをゲットしよう,と意気込んでいる。

 

近時マスターズのレベルは,武井壮さん,朝原宣治さんや末續慎吾さん等の参加もあり,格段にあがっており,45歳11秒02,50歳11秒33,55歳11秒80,60歳12秒21が,現在の年齢別日本記録である。

 

これは,一つの指標,目標にはなる。

 

ただ,あるアスリートはこういった。

 

「記録には二つしかない。世界記録と自己記録だ。」

 

これは真理であり,私は今後も加齢にあらがって毎年,自己記録の更新をし続ける,という意識で,質の高い努力をしていきたいと考えている。

 

そして,それは,走り方を最適化することで,まだ十分に可能だと思えている。

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