コラム TAKESHITA SANGYO

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コラム 賢人の思考 ~働かないオジサンについて考える~

2020.05.11

2017.02.13-22

自らオジサン学を提唱し、研究されておられる石川雄一先生に、「働かないオジサンについて考える」というテーマでコラムを書いていただきました。

わたしもオジサンになるのですが、多くの賢人と接するうちに、学び直し(リカレント)を意識するようになりました。

とにかく現状に満足することが嫌で、今年の4月から立教大学大学院ビジネスデザイン研究科(MBA)に入学して学ぶことになりました。

社会が大きく変化する中、わたしたちは新たな働き方や学びを求められています。多くの人生経験を積まれている石川先生からのメッセージを、ぜひご一読ください。

 

○弊社が行っている教育補助制度(学び支援制度)についてはこちら(下記URLご参照)

https://www.r-station.co.jp/recruitment/

 

【著者】

石川 雄一 氏

石川雄一氏

【プロフィール】

慶應義塾大学経済学部卒業後、東京海上火災保険株式会社(現:東京海上日動火災保険㈱)に入社。主に国内営業畑を歩み、近畿業務推進部長、札幌中央支店長などを歴任。

55歳で自動車メーカー保険代理店の常務取締役となり、経営と人材開発に尽力。

退任後、大型自動車メーカー関連会社参与を経て退職。

 

2017年に立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科入学し、2019年3月に修士課程修了。MBA(経営学修士・社会デザイン学)。

2020年4月からは新たに立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科博士課程に在籍し、企業組織に関する研究の傍ら、セミナー講師など精力的に活動している。

 

 

テーマ : 働かないオジサンについて考える

 

前回このコラムで「妖精さんと呼ばれる人たち」についてお話した頃、2020.1.17の日本経済新聞に「オブジェ社員を生むな」という記事が載りました。ある大手電機メーカーのシニア社員(定年延長継続雇用社員)に関する多摩大学の徳岡教授調査結果です。

 

それによると、シニア社員本人の働きにくさだけでなく、一緒に働く若手社員からも否定的な声が大半であり、これは「日本の多くの大企業に共通する」としています。定年が延長されても、じっと固まった「オブジェ」のような社員が増えれば、「職場の閉塞感が高まり、企業の活力を低下させる」ことになりかねません。働かないオジサンが生まれる原因としては、企業の研修投資が新入社員と管理職に集中し、そこから外れたミドルは放置されてきた結果だ。だから対策として企業側に求められるのは、ミドルシニア層を対象にした研修などに力を入れることだ。一方、働く側に求められるのは、自らのスキルや技能の鍛え直しや学び直しに取り組むことだ、と結んでいます。まさにその通りだと思いますが、では実態はどうでしょうか。

 

日本の伝統的な新卒一括採用定年制による組織では、一般的に40歳前後で管理職への選別が行われ、昇格者向けにはマネジメント研修などが実施されますが、対象者以外には全くと言ってよいほど研修はありませんでした。企業が費用を負担する研修などを受けている社員の割合は、日本は他国に比して大変低く、第1位のインド85%、第2位中国82%、に対し、日本は何と第33位41.2%にすぎないという調査もあるのです[1]

 

筆者は、多くの企業で50歳前後の社員を対象に実施されている、シニア向け研修についての調査を行ったことがあります。数社の研修内容を調べたところ、ほぼ共通するポイントがありました。

 

<これからの15年から20年に向かって環境の変化を正しく認識し、自己理解を深め、キャリアデザインを考え、これから実現したい価値観(WILL)や強み(CAN)を期待される役割(MUST)に統合させ、モチベーション高く働くマインドセットを促すこと>

 

これが研修の主たる目的です。1泊2日で行う事例なども多く、企業側の本気度が伺われます。一昔前のいわゆる「ライフプラン研修」では、退職後の人生のために退職金や年金制度などを理解させる内容が一般的でした。しかし現在では、時代を反映した内容に大きく変化していることが分かります。

 

では受講した社員はどう受け取っているでしょうか。研修後のアンケートによると、久しぶりに受ける研修の内容に戸惑いながらも、「言われたことは良く分かる、とても刺激的だった、目からウロコだった」など前向きな反応が大半ですが、「もっと早く聞きたかった、どうしたらよいのだろうと悩む」などの感想も多いそうです。

 

日本の伝統的なメンバーシップ型企業では、定年まで勤めることを前提とした生涯給与を組み立てており、多くは職能給と年齢給の二つから成り立っていました。業績給制度が導入されてからも、ベースは年功賃金が維持され年収が大きく変動することはありません。一方、ジョブ型雇用であれば、職務に対する報酬ですから年功にはとらわれません。メンバーシップ型では、体力・行動力がある若手時代に目一杯稼いでもらい、パワーの落ちてくる中年期からは、少数の優れたマネジャーがいればよく、それ以外の社員には多くを期待してなかったともいえます。

 

しかし近年少子化の影響で、社員の年齢構成が大きく変化してきました。総務省統計によれば、労働者人口の約4割、2799万人が45歳から64歳のミドル層だそうです。だから彼らが活躍するか否かが、グローバル化の波にもまれる日本企業にとって大きな問題となってきたのです。日立をはじめとする大企業が通年採用を推進し、年功制賃金体系を見直すようになりました。雇用制度は急激に変化し、メンバーシップ型とジョブ型のハイブリッド型に移行すると言われています。

 

すでに中年期を迎えている社員には大変厳しい風が吹いています。こうした社会の流れを十分に理解し、自分を見つめ、今すぐに学び直しする努力を始めなければ、相当に厳しい未来が待っています。本人の努力とともに、企業側は彼らの背中を押して、学ぶ機会を与えてほしいと思います。

先の人生はまだまだ長いのです。政府は本気で年金支給年齢を75歳に繰り下げることを検討していますから。

[1] 人材サービスのランスタッド社調査:2018.1.10日本経済新聞夕刊

2017.02.13-22

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