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コラム TAKESHITA SANGYO

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コラム 賢人の思考 ~『マネジメントの前提条件』~

2022.04.01

「マネジメントの前提条件」というテーマで大森英直氏にコラムを書いていただきました。上司にとって部下のマネジメントは、最重要業務で、最重要課題でもあります。私も部下のマネジメントについては日々頭を悩ませております。

マネジメントを行う前に上司にとって何が必要なのか、このコラムから何かを感じていただけましたら幸いです。

 

【筆者プロフィール】

大森 英直

事業創造大学院大学 非常勤講師

専門:リスクマネジメント

 

 大森氏

 

 

事業創造大学院大学(MBA)で講師として大学院生に教鞭をとる傍ら、企業においてリスクマネジメントの業務・コンサルティングに従事。

 

『働きやすい職場をつくることが良質なサービスへとつながり、企業の価値を高める』を持論として自ら実践するとともに、大学院や企業などで講演活動を行っている。

 

 

テーマ 『マネジメントの前提条件』

 

フランスの哲学者アランは、著作『幸福論』の中で「私たちは他人の幸福を考えねばならない。だが、愛してくれる人のためになしうる最善のことは、自らが幸福になることなのである」と述べています(1)。私はこの言葉から「上司が幸福でないなら、部下を幸せにすることなどできないのではないか」と考えるようになりました。そこで、上司自身が幸福になるために、自ら抱える悩みや迷いとどう向き合えばいいのかを考えてみたいと思います。

 

 

1.分別しない

人と動物の違いは意識の有無にあり、人はその意識故に物事を「白・黒」「善・悪」「正・誤」「未来・現在」「現在・過去」など二元論で分別して考え、そこから妄想を生みだしてしまいます。そして問題が解決するわけでもないのに、それらの妄想を抱え込み悩み苦しむのです。

それでは、こうした悩みや迷いを生み出す妄想と、実際にどう向き合えばいいのでしょうか。

 

仏教学者である鈴木大拙は『善と日本文化』で「考えるな、思い煩うな、分別を持つな、そうすれば心は至るところに行きわたってその全力が働き、つぎつぎと手近の仕事を成就するであろう」と述べています(2)。

大拙は、分別せず(無分別智)、妄想を消し(莫妄想)、ただ目の前にあることに取り組み行動すること(直観智・即今)で妄想から解放されると、私たちに伝えてくれているのです。

 

これは、高僧で名高い瑩山禅師が悟りを開いた際、師である義介禅師に述べたと言われる「お茶を出されたらありがたくお茶をいただき、ご飯を出されたらありがたくご飯をいただきます」の言葉にも通じるものがあると思います。

 

 

2.どうでもいいことは「まぁいいか」

私たち人間は何かと分別(判断)しがちですが、人生の岐路に立たされ、究極の分別を迫られるといったシーンはほとんどないのではないでしょうか。通常の日常生活では分別など必要としない、どうでもいいことが大半だと思います。

フランスの哲学者ルネ・デカルトも『方法序説』で、日常的な行動基準の第一は「中庸(3)」であり、最も常識的で穏健な意見に従うことで頭脳の浪費を避け、自分がやりたいことに全力で集中できると考えていたようです(4)。

だとすれば「まぁいいか」は冷静さを取り戻す魔法の言葉であり、どうでもいいことを分別せず「まぁいいか」と心の中でつぶやける余裕こそ、上司に必要な器量ではないでしょうか。

 

(出典/注釈)

  • アラン「幸福論」プロポ90(村井章子訳、日経BP社、2014)
  • 鈴木大拙「善と日本文化」 79(北川桃雄訳、岩波書店、1940)
  • 中庸(ちゅうよう)とは、両極端を避けて穏当なこと
  • 竹内均「「修身」のすすめ」149(講談社、1981)

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