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コラム

コラム 賢人の思考 ~自宅にいる時間が長くなり感じたこと~

賢人の思考

元バンカーで、現在危機対応の専門家として活躍されておられる八星 篤 先生に、コロナ禍の現況を見て感じられていることを執筆いただきました。

わたしたちが普段何気なく使う言葉について改めて考えてみること、哲学でいう批判的知性や心理学でいうクリティカル・シンキング(critical thinking;批判的思考)と相通ずる考え方となると思いますが、統計データを自らが丁寧に分析し対応することの重要性を述べられています。

新型コロナは負をもたらすだけでなく、わたしたちに改めて人生や生活を問い直す良き機会になっているかもしれません。みなさまもご一読いただければ幸いです。

 

○つくだ社会科学研究所ホームページURL

https://www.8-star.jp/index.html

 

○著者

つくだ社会科学研究所

代表 八星 篤(はちぼし あつし)氏

八星 篤氏

1972年 東京大学経済学部卒業

1972年 第一勧業銀行入行
1996年 広報部長
1997年 企画室長
1998年 横浜支店長
2000年 執行役員調査室長 兼 第一勧銀総合研究所専務取締役
2002年 みずほ銀行執行役員調査部長 兼 みずほ総合研究所専務取締役 
同年 みずほ銀行退職
2003年 株式会社サカタのタネ監査役(社外)就任
2008年 株式会社サカタのタネ取締役(社外)就任
2013年 株式会社サカタのタネ取締役辞任
現在、危機管理、経済・金融等の講演・研修活動に従事

 

現在、危機管理、経済・金融等の講演・研修活動に従事 。なお、八星氏は高杉良著「金融腐食列島」シリーズの登場人物のモデルの一人と言われている(八星氏が第一勧業銀行総会屋事件時の広報部長時代がモデル)

 

 

○テーマ

「自宅にいる時間が長くなり感じたこと」

今は8月半ばですが、5月25日に新型コロナ肺炎(以下コロナ)についての緊急事態宣言が解除され、6月中はコロナの感染者数が減少していったので、このまま、しばらくの間は減少が続くだろうから、8月は小旅行でもしてと、安易に考えていましたが、どっこいそれ程甘い状況ではないことを、今つくづく思い知らされています。6-10月の講演・研修の仕事も私的な会合も100%に近くキャンセルとなり、重症化リスクが高いと言われる高齢者としては、自宅に籠りがちな生活は当分続きそうです。

 

もっとも自粛といっても、私も同世代の仲間も自らの意に反して自宅に籠っているつもりはないと思います。

①年金生活者が大半で、毎日外出する必要がない ②会合も酷暑で熱中症のリスクも抱えながら、マスクをしながらやるほど、重要なものはない(どうしてもの場合もTV会議で済む) ③重症化すると大変苦しいようだし、最近は後遺症も厳しいようなので、わざわざいわゆる三密と言われているところへ出かける意欲に乏しい等のことを考えて、自分の意向でそれぞれの行動を決めているので、自粛というニュアンスとはいささか違うと感じています。

 

私も、今月、外出する用事があった時には、電車とバスを使って相当長時間外出し、用件を済ませることが出来ました。

電車は想像以上に混んでいましたが、どの場所でも1つの例外を除いては皆さん感染防止のためのマナーが守られていて、あまり不安はありませんでした。今のところ、幸い健康を保っています。

1つの例外とは、酔っぱらった集団が混んだ電車の中で、大声で話をしていることでした。コロナの時に限られた訳ではありませんが、酔っぱらうと、どうしても会話は大声になりがちで、かつ声が大きくなっていることに本人たちは気が付かないことが多いのです。

以前から、公共の場で酔っぱらって大声を張り上げたりする行為は苦々しく思っていましたが、コロナ感染拡大防止で色々なことが求められている中、車中等の公共の場では意識して声を低くするという配慮が必要と思いました。

 

「飲んだら乗るな」とは言いませんが、この機会に「飲んだら静かに」というマナーが定着することを望んでいます。

ここまで、飲酒マナーに関する指摘は不思議なことに、余りありませんが、私は飲酒運転禁止が急速に普及したことを考えると、迷惑条例違反でコンプライアンス違反に問われることも夢物語ではないと思います。

日本は「まあ、酒の上のことだから」とまだまだ飲酒による事件に甘い国ですが、世界の標準は相当に厳しいです。

宗教上の禁止は別としても、自分の意思で酒を飲んだ以上、その結果責任は厳しく問うというのが世界的な趨勢です。

いずれ日本も飲酒マナーについてそうした世界水準に近づいていくと思います。その場合に備えて、企業には、リスク管理教育の一環として、飲酒に対するマナーを教えることが必要になってくると感じます。

 

さて、私の現在の生活ですが、リモート○○に積極的に参加するとか、これまで出来なかった断捨離を行う意欲は沸かず、早朝と夜間の散歩以外は、軽い小説を読むかTVを見るかで、大半の時間を過ごしています。

当初は、これまで時間が無くて読めなかった長編小説や専門書を読もうと思っていたのですが、最初の2-3ページを読んだだけで、根気が続かず、諦めました。

TVについては、多分これまでの人生で最も見る機会が増えていると思います。特に、お昼のワイドショーやニュース番組、特別番組を見る機会がこれまで少なかったので、1週間ぐらいは新鮮な気分で見ていました。

びっくりしたのは、どんなテーマであっても、「この問題に詳しい専門家」が登場し、自分の意見をとうとうと述べることです。でも、なる程専門家の意見だと感心するものはあまり多くはありません。

大抵は、いずれもちょっと考えれば誰でもそう思うだろうということを、専門用語などを使って飾っているように見えますが、番組の進行上、ある種の権威付けが必要なのだろうと思うと専門家の問題というより番組作成、それを求める視聴者の問題かも知れません。

その点では、この数か月、毎日連続したメインテーマであるコロナの話の、特に医療関係者の話は教えられることが多かったです。

 

ただ、最近メンバーが限られてきたこと、医療と言っても専門分野がそれぞれ分かれているため、当然なのかもしれませんが、仰る意見は必ずしも同一ではなく、戸惑うこともあります。

「一体どうすればよいのだ」と思うこともありますが、それだけ、コロナについては、実際には専門家といえども、分からないことがまだ多いのだろうと感じています。

ただ、最近は医療専門家の方も、政府等の政策にかかわることについては、発言が控えめになってきたと感じます。

医療関係者は、経済に対する専門性を求められているのではないので、医療関係者として思うところを率直に述べればよいと私は思うのですが、実際には様々なプレッシャーがあるのだろうと想像しています。

 

私は職業柄でしょうか、TVでの発言の時の言葉の使い方は気になります。

例えば、緊急事態宣言が解除され再び感染者数が増大し始めた時に「感染者数は拡大していることは間違いない。それでも重症者数は増えていないし、死者も少ない。感染者数の増減に一喜一憂しないことが肝心」という発言が政治・行政関係者からあり、医療関係者でも同調する方もいました。

しかし、一般的な感覚として感染者が増えれば、不安は募るし、減少すれば、少し安心するというのはごく自然だと思います。

政治・行政の世界では当たり前の言葉の使い方かもしれませんが、感染者や重症者・死亡者が現実に存在するときに、そもそも、一喜一憂という言葉を使うことは妥当なのだろうかと感じました。

日本では、個人情報の関係として一切死亡者の氏名を公表していませんが(ご遺族が不当な差別を受けない配慮かも知れません)亡くなられた方を皆で追悼するという意味で公表しているところもあります。

ご遺族の了解が取れるのであれば、公表をして、皆で追悼の意を表すというスタイルもあってもよいかもしれません。

ともかく、一喜一憂という他人事のような言葉は使わずに、せめて、感染者数だけでなく他の数字も参考にしてください程度に一般的な説明ではとどめておくべきではないではないかと思いました。

 

これはビジネス上のリスク管理としても大切なことです。

とかく自分が日常的に業務の中で使っている言葉をお客様にも説明することなしに使ってしまうことがあります。

しかし、特に、最近のように会話やメールを簡潔にすることが求められる時には、なおさら、一言の重みに対する配慮が必要です。

簡潔にということは単純に短くすれば良いということではありません。

簡潔にしかし相手の感情をくみ取りながら話す・書くのはとても高度なテクニックだと思います。

一言の重みで、ビジネスチャンスであったはずが、逆に顧客の反発を招く危険性があること、反発を招いた時にも釈明の機会が限られることを考えれば、こうした時期だけになおさら、留意しておかなければなりません。

 

この期間、私も何度かTV会議を経験しました。私のIT技術の拙さもあって、TV会議で自分の考えていることを伝えるのは難しかったのです。

簡潔に意向を正確に伝えるよう一言の選び方に苦労しましたが、実際にうまく伝わったと思うことはまれでした。

また、画面上で相手の顔色の変化から、反応を読み取るのは至難の業でした。

コミュニケーションを単に画面上の会話やメールだけで行なう難しさとFace To Faceのやり取りの有用性を改めて認識しました。

 

TVのコロナを巡る議論に関しては、もう一つびっくりしたことがありました。

それは、統計数字が安易に恣意的にしかも専門家によって使われていたことです。

感染予防と経済の活力の両立の議論の中で、ある経済の専門家が次のような議論をしていました。

「コロナでの死者は1,000人だが、経済の活性化が無ければ、以前の統計数字から見て毎年2,000人の自殺者が見込まれる。経済の安定化が重要であることはこの数字から見ても明らかだ」という主張です。

コロナの死者は確かに現状日本では1,000人ですが、治療薬やワクチンがまだ完成していない現在で、1,000人と固定するのは早計ですし、一方、過去に経済的な要因で自殺者が増加したことも事実ですが、その後、様々な対策が行われており、過去のピークだけをとらえて2,000人の自殺者が見込まれるとするのは根拠が薄弱です。

そもそも原因の全く異なる死者数の単純比較自体が問題だと思いますが、一見すると客観的に見える議論は今後も行なわれる危険性があります。

これは民間企業であれば、説明責任がありますから、不用意にこうしたデータを自社製品のPRに有利になるように、意図的に利用することは禁止されていますし、度が過ぎればデータ改ざんとして厳しく糾弾される恐れもありますから注意が必要です。

4-6期のGDP速報が戦後最悪の▼年率27.8となったことが報道されています。

だから経済再生のためにも早急に「新しい日常」の確立が必要と言われていますが、でもこの議論も、もう少し丁寧にデータを分析して、対応を考える。

まして、他企業等との競争の下にある民間企業においては、それぞれの業種・企業の特性に応じた「新しい日常」をそれぞれが検討することが重要と思います。

今後の経済の展開やその下での企業のリスク管理については、改めてお話させていただきたいと思います。

 

我々高齢者がそれなりの生活を保っていけるのも、コロナの感染再拡大と猛暑による熱中症のリスクが重なり、炎天下でのマスクの着用を始め様々なことに注意を払わなければならないという異常な労働環境が続くなかで、医療・介護従事者だけでなく、大多数の一般企業の現役の方々が、不安を抱えつつも、毎日働いていただいて社会の欠くべからざる部分を支えて頂いているおかげと心から感謝しております。

以上

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