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コラム

コラム 賢人の思考 ~九州豪雨からBCP(事業継続計画)を考える~

賢人の思考

九州豪雨、山形豪雨で被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。

一日も早い災害復旧をお祈りいたします。

リスクマネジメントの専門家で、弊社顧問でもある大森 英直 氏に「九州豪雨からBCP(事業継続計画)を考える」というテーマでコラムを書いてもらいました。

大森氏はあれこれ考えず、“逃げる”ことを第一に事前に検討することを推奨されています。みなさまがBCP(Business continuity plan;事業継続計画)を検討する際のご参考にしていただければ幸いです。これからも豪雨や台風が続くと思いますので、この機会にご一読ください。

 

○プロフィール

大森 英直(おおもり ひでなお)氏

 大森英直氏

竹下産業株式会社顧問

日本ホスピスホールディングス株式会社 戦略本部担当部長

事業創造大学院大学 非常勤講師(リスクマネジメント)

 

 

 

テーマ:九州豪雨からBCP(事業継続計画)を考える

 

この度の九州豪雨により被災された方々に対しまして、謹んでお見舞い申し上げます。

わたしは損害保険会社の社員として、九州で約6年間を過ごしました。特に、今なお日本の原風景が残る熊本県人吉市や球磨郡の水上村には、鮎や米焼酎、温泉などに惹かれ、何度も足を運んだものです。そうした想い出の地がようやく新型コロナから立ち直ろうとしていた矢先に、大きな打撃を受けたことが残念でなりません。

被災地の一日も早い復旧と復興を心よりお祈り申し上げます。

 

今回の九州豪雨では多くの死亡・行方不明者が出ましたが、中でも熊本県球磨村の特別養護老人ホームで14人もの方が亡くなられました。報道によると気象庁や自治体も早めの避難指示(警戒レベル3)を出していたとのことですが「なぜ避難できなかったのか?」を考えてみたいと思います。

 

逃げ遅れた原因には、下記の心理状態に陥っていたこともあるのではないかと推察します。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・「集団同調性バイアス」 皆でいるから大丈夫と思い避難が遅れる

・「心理的バイアス」 思い込みや偏見によって認識が歪む

・「正常性バイアス」 思い込みによって頭が非常事態であるという認識に切り替わらない

・「楽観的無防備」 自分にとって望ましくないことが起こる確率は低いと考えてしまう

・「ヒューリスティックス」 人は論理的に考えず、安易な意思決定をしてしまう

・「係留効果」 人は最初に提示された数字を参照として判断してしまう

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

これらの心理状態は決して他人事ではなく誰にでも起こりうるので、これを機に読者の方々にも当事者意識を持って考えていただきたいです。こうした同様のケース(注1)で被害が出るのは、人間の特性の一つに「いざとなってもなかなか逃げられない」という点があるのかもしれません。

 

では、多発する自然災害から何を学び教訓にするべきなのでしょうか。

これは常々リスクマネジメントの師である故 眞﨑達二朗先生(住友銀行OB)が仰っていたことですが、「逃げる」という一点を最優先に集中して考えることです。

眞﨑先生が銀行勤務をしていた昭和30~40年代当時、関東大震災と東京大空襲の両方を生き延びたお客様たちは「助かった人の共通点は川を越えてどんどん逃げた人だ」と口を揃えて話していたそうです。

 

また私がコンサルティングをしている企業でBCP(事業継続計画;注2)の策定を検討中、ハザードマップを確認すると、その企業の立地があらゆる災害の危険地域となっており、どう考えてもBCPを検討できる状態とは思えず手詰まりになったことがありました。

このような場合どうすればよいのか眞﨑先生に相談したところ、「大森さん、BCPは考え過ぎても無駄ですよ。最悪逃げることだけ考えればいいのです。人は生きていれさえすれば何とかなる。人がいれば企業は復活できます。」というアドバイスをいただき、現状に囚われ過ぎて結局BCPが策定できなかったでは本末転倒だと自省しました。

「逃げる」ことを最優先にする、これも立派なBCP(事業継続計画)ではないでしょうか。

 

もしわたしが施設責任者なら、下記の点を踏まえて「逃げる」ことを考えます。

 

・普段から天気予報を毎日チェックし、タイムライン(事前防災行動計画;注3)を考える。

・実際に職員と一緒に避難場所まで歩き、避難場所を事前に確認しておく。道すがら「いつ」「誰が」「何をするか」避難方法について職員間で意見のすり合わせをする。

・避難が難しい場合は、ハザードマップから何mまで浸水するのかを確認し、何階まで垂直避難(自らの施設上階に避難する)するのか決めておく。

 

逃げることを起点として考えていくと、止水板や土嚢、発電機や水も必要等、様々な発見があります。そこから少しずつ必要なものを買い足していく、必要なことを検討していくなどして、いつの間にかBCP(事業継続計画)ができあがっていく。これも一つの策定方法の形だと思います。

 

できる範囲から少しずつ。ただ「逃げる」ことだけは最優先に。

今から皆様も考えてみてください。

 

 

(注1)サービス付き高齢者向け住宅や老人ホームのうち約3割が浸水危険区域内に立地し、また中山間地域等の一部の地域では1割以上が土砂災害危険区域内に立地している(出典:国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅等の立地状況について(都道府県別分析)」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/house07_hh_000119.html

 

(注2)BCP(Business continuity plan;事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃等の緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時の行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段等を取り決めておく計画です(出典:中小企業庁、2016、「中小企業白書2016年版」)

 

(注3)タイムライン(事前防災行動計画)とは、災害の発生を前提に、防災関係機関が連携して災害時に発生する状況を予め想定し共有した上で、「いつ」、「誰が」、「何をするか」に着目して、防災行動とその実施主体を時系列で整理した計画です(出典:国土交通省、「タイムラインを知る」、https://www.mlit.go.jp/river/bousai/timeline/  [閲覧日2020年7月22日])

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