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コラム

コラム 賢人の思考 ~ 近年話題のライフ・ワークバランス 介護離職を考える その5 ~

賢人の思考

今回は新野緒氏に「老い」をテーマに執筆いただきました。

老いとはどういうものかを、生物学・歴史学の両面から解説いただております。

そして誰もが迎える老いに対してどのように迎えるべきかについて述べられています。

ご一読ください。

新野 緒氏

 

新野 緒 NIINO HAIJME  東都三軒茶屋リハビリテーション病院 医療相談員(社会福祉士) 

JALグループ(株)JSS総合危機管理サービスコンサルティング事業本部での勤務を経て、1998年に東京掖済会病院医療ソーシャルワーカーとして福祉業界に飛び込む。東都三軒茶屋リハビリテーション病院 医療相談員。岡崎人事コンサルタント講師、株式会社Leaf音楽療法センター非常勤講師。

 

明治薬科大学、日本大学経済学部、中央大学、立正大学、職業能力訓練大学校などでの講師実績多数。介護・医療経営専門誌である日総研出版「介護人財」「地域包括ケアを担うケアマネ&相談員」「地域包括ケア時代の通所&施設マネジメント」に連載・寄稿多数。

Web版「介護人財」にて「医療福祉の次世代成長を狙う技術革新20年戦略」を好評20回連載中。

 

 

近年話題のライフ・ワークバランス~介護離職を考える~その5

 

前回は長生きリスクを取り上げ、この問題の解決には常識を変える必要があることをお話しました。その3で「お釈迦様の抹香臭い話をする」と言っていたのは忘れたのかと思われている方もいるかもしれません。話があちこち飛んでしまいますが、実は“生病老死”の4つのテーマのうちでまだ「生」の部分を話しています。今回はお約束通り、生物の「老」「死」の部分に少しかかりますのでご安心ください。

 

地球上には生き物が溢れていますが「実は生物は1形態しかない」と言ったら驚かれるかもしれません。でもそうなのです。細胞が分裂して増える形態の生物しかいません。RNAの1種であるDNAを細胞と言う袋に詰めて分裂する生き物だけです。そして決められた回数分裂すると「死」を迎えるように共通してプログラムされています。同じDNAの組み合わせなので違いは少しです。例えば、人とバナナのDNAの差は50%だけ、チンパンジーとヒトは98.5%同じです。では何が人と他の生物を分けるのでしょうか?「道具が使える。言葉がある」など、いろいろ意見があります。ギリシャ神話では、有名なスフィンクス(5000年前建造された)の謎かけとして「朝は4本、昼は2本、夜は3本で歩くものは何か」というのが、人間の特徴として出てきます。生まれた(朝)赤ちゃんでハイハイ、大人(昼)になると2本足で歩き、老人(夜)になると杖を使って3本足で移動する。“老人”という時期がある生き物が人間の特徴だと言うことです。これはかなり的を射抜いています。地球上の全生物175万種類のうち、哺乳類だけでも6000種類ありますが、生殖能力を失った後も生きている老齢期のある哺乳類は、ヒト、シャチ、ゴンドウクジラの3種類だけで、集団で子育てすることが共通しています。しかも老後は、ヒトの人生のほぼ半分40年にも達し『極端に長いのはヒトだけ』です。

 

なぜ陸上生物で人だけに老後があるのか。「おばあちゃん仮説」と言う有名なものがあります。

人が集団で子育てする生き物で、生殖能力は失って、体力も低下しても生活の知恵、ルール作りの手法や伝授といった教育の質と量を生きたまま保存することが社会性の維持に有利だった結果の進化だと言う説です。注1) 年齢や介護で生活と仕事を分離する。定年を作って働けないようにしたり、介護のため離職するなどと言うことは、ただ「もったいないだけの社会的喪失」です。生物としての人間にとっても自然なことではないのです。老後の生活設計の常識は「現役の時は世の中に仕事を通じて貢献する⇨体力に合わせ隠居後は余生を楽しみながら世に役立つ貢献をすることに比重を移す」貢献分野の役割分担が変わるだけに変える必要があります。現代日本では高齢化が進み、東京の高齢化率は14%が24%に上昇して大問題となっています。しかし実は、過去にも戦国末から江戸初期に10%近い急激な高齢化率の上昇を迎えた事があるのです。その時はどうしていたのでしょうか?もちろん昔は、現代のように生活は豊かではありませんでした。江戸初期に、年寄りは60歳で「隠居したから楽をするのではない。仕事の分担が変わるだけ」村の行事、田圃の世話、雑草刈り、育児、家事、機織り、糸繰り、縄を綯う、村に貢献し家を支えることは際限なくいくらでもあります。「だから、老人のいない家は実に困る」という状況だったのです。注2) そしてその時代に豊かな老後を送ることができた先人の生き方も参考になります。

 

伊能忠敬は、江戸時代に日本列島を測量して初の全体図を作ったことで有名ですが、これは50歳で酒屋の家督を譲った老後の遊びでした。趣味の天文学を楽しむのに地球の大きさを測りはじめたのですが、幕府の禁令で超遠距離間の測量許可がおりません。そこで許可を取る口実として、ロシア船が来航して脅威を感じていた幕府に働きかけ、蝦夷地の測量地図制作を建白した結果だったのです。

 

江戸時代には、介護離職問題などほとんどありませんでした。自宅が職場で仕事をしながら見守りができます。日常労働で体力は維持され老いぼれても自分で歩け、重度の認知症となっても縄紐作りくらいは出来たからです。職住一体、村全体で生活を支え合い、歳をとって老いぼれても地域に貢献することで尊敬され生活に張り合いを得て、知り合いに囲まれ安心感を持って暮らしたのです。

 

我々が長年に渡り義務教育で教えられてきた常識は、勉強して良い会社に就職すれば年金で豊かに老後を暮らせるということだけでしたが、生物としての人間の余生は、死ぬまでヒトの世に貢献、お互い支え合うためにあるのが自然なのです。前述のような過去の経験が、我々に教えてくれることは次の3点です。

 

  • 高齢で衰える体力や記憶力、学習能力の低下に対応するには、若い時に身につけた生活技術を応用するだけで生活が成り立つように老後の暮らしを再設計する必要がある。
  • 科学や技術の進歩の成果に我々が合わせ生活を変えるのではなく、人間の暮らしは変化させず逆に科学や技術の方を寄り添わせるのが高齢者に優しい暮らしを作ることになる。
  • 隠居後の余裕では、遊びに社会貢献の比重を高めることが大切。

ということです。

 

この辺で今回の話は終わりにいたします。次回はたくさんのリスクへの対応をしつつ介護離職を発生させない暮らしを実現するには、どういう生活設計や解決策が必要なのかを取り上げます。それを少しずつお話していかないと紙面が足りません。その6以降で取り上げていきたいと思います。

 

 

 

注1)

講談社現代新書 小林武彦 著 「なぜヒトだけが老いるのか」

〜人間以外の生物は老いずに死ぬ。ヒトだけが獲得した「長い老後」には重要な意味があった〜

 

注2)

講談社 鬼頭 宏 著 日本の歴史19 「文明としての江戸システム」 

 

~ 近年話題のライフ・ワークバランス 介護離職を考える その6 ~ に続く

~ 近年話題のライフ・ワークバランス 介護離職を考える その1 ~ から読む

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