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コラム 賢人の思考 ~ 「老い」を「熟達」に シニア・パワー 6 ~
2024.07.01
2024.07.01
熊倉百音子さんに【老い】をテーマにコラムを書いていただきました。熊倉さんのコラムを読むと、老いることは悪いことではないように思えてきました。失ったものを補うことで、より深みのある人生を送れることが理解できました。誰もが年を取りますので、ぜひ読んでみてください。
【筆者】熊倉 百音子 氏
【プロフィール】
東京生まれ 株式会社クオリティ・アンド・バリュー 代表取締役
公認心理師/ドイツポジティブ心理学トレーナー
九州歯科大学 非常勤講師
『心理学を日常に活かす。質の高いコミュニケーションの方法と効果を実践的に伝えています』
コラム:「今日もココロをストレッチ」連載 2022.8~2023.7(秋田魁新報 他2紙)
著書:「誰も教えてくれなかった 患者さんの心をつかむ デンタルコミュニケーションメソッド」(共著 医歯薬出版社)
立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科修了
テーマ:「老い」を「熟達」に シニア・パワー
最近、すっかり目が悪くなって老眼鏡が手放せなくなりました.。
なんとも情けないボヤキから始まって恐縮ですが、
もともと視力の良かった私は「目がよく見えない」という状態にまだ慣れず
いちいちメガネをかけるのも煩わしいと感じます。
年をとる、とはこういうことか、とリアルに感じ始めた今日このごろ。
今日はそんな憂いを吹き飛ばしてくれる、高齢者心理のお話です。
Daryl Hall とTodd Rundgrenというアメリカのシンガーがいます。
70~80年代にヒットチャートを賑わせ、ちょうどその頃、思春期だった私はアルバムレコードを何枚も買って聴いていました。
現在70代後半のおじいちゃんシンガーですが、新しくYoutubeチャンネルなどで新たなファンをつかんでいるようで、ツアーを組み世界中を飛び回っている、キャリア50年のレジェンド・アーティストです。
私は去年の秋に彼らの東京公演のライブに行きました。
これがものすごくよかったんです。
往年のヒット曲を中心に、圧倒的なパフォーマンス力とファンサービスで会場にいる観客は大喜び。
私も全身全霊で叫び、歌い、踊り、約2時間のライブを楽しみつくしました。
さて、ここからが心理学のお話です。
彼らのライブを「SOC理論」(選択的最適化理論・Selective Optimization with Compensation)の視点で見て行くと面白いことに気付きます。
「SOC理論」とは大まかに説明すると
「老いによってできなくなったことを、できるように調整・選択しながら自身の目標を達成させる戦略」のことで、3つの方策があります。
1.「喪失に基づく目標の選択」(Loss-based selection)
今はできなくなったことはそもそも目標から外し、若い頃の目標を下げる。
2.「資源の最適化」(Optimization)
選んだ目標に対して、自分の持てる資源(身体的・精神的・時間的など)を当てる。
3.「補償」(Compensation)
失ったものを補うための創意工夫を施す。
先にお話しした「Daryl Hall & Todd Rundgren」のライブでは
まさにこの理論に基づいて、ライブを成功させていると言えます。
彼らのパフォーマンスを冷静に振り返ると、絶頂期とは明らかに違います。
ヴォーカリストとしての音域は限定的ですし、声量も違う、動きもどこか緩慢です。
けれども、
・音域的に無理のある楽曲はそもそも演奏曲から外す、
・高いキーの部分はアレンジして別のメロディに変え、
・2人の掛け合いやハーモニーを楽しむ構成や往年のヒット曲をコールアンドレスポンスで歌い観客を楽しますことに集中する。
といった意図的な方策によって
年をとって失った能力を補って余りある、
いや、それ以上の圧倒的なパフォーマンス力が聴衆を満足させているんですね。
これは「老い」を「熟達」に昇華させた、攻めのシニア戦略だと私には映りました。
このSOC理論はもちろん、彼らのようなアーティストだけのものではありません。
私の周りにも、60代、70代、いえ、80代になっても独自の働き方で活躍している先輩方がおられます。そうした方々の軽やかな後ろ姿をみていると、年を経るごとに自由になっておられるように見えます。
恐らく、価値観の転換があったりするのだろうなぁと想像しますが、十数年先の自分もそうあろう、と予習しているような気分になります。
さぁ、翻ってわたしの「老眼」問題もどうにかなるでしょうか。
「老い」を逆手に取った攻めの戦略、皆さんならばどう考えますか?
ぜひ教えてください。
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