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コラム 賢人の思考 ~目指すべき目標は何だろう~
2022.08.15
2022.08.15
石川雄一先生に「目標」についてコラムを書いていただきました。
皆様はご自身の「目標」をどのように考えておられるでしょうか。石川先生のこのコラムを読むと、皆様の「目標」も明確になってくると思います。ですので、ぜひ読んでいただきたいです。
【著者】
石川 雄一 氏
【プロフィール】
慶應義塾大学経済学部卒業後、東京海上火災保険株式会社(現:東京海上日動火災保険㈱)に入社。主に国内営業畑を歩み、近畿業務推進部長、札幌中央支店長などを歴任
55歳で自動車メーカー保険代理店の常務取締役となり、経営と人材開発に尽力
退任後、大型自動車メーカー関連会社参与を経て退職
2017年に立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科入学し、2019年3月に修士課程修了。MBA(経営学修士・社会デザイン学)
現在立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科博士課程に在籍し、企業組織に関する研究の傍ら、セミナー講師など精力的に活動している
テーマ 「目指すべき目標は何だろう」
私たちは常に目標に向かって進んでいる。学生なら受験がすべてであり、まるで志望校合格が人生のゴールであるかのように、全精力を注ぎ込む。しかし合格したらほっとし、燃え尽きて目標を見失うこともある。大学合格がすべてのゴールだったはずなのに、実はそうではなかったと気づくだろう。
学生から社会人に向けて次は就職が目標になる。良い会社、希望する進路に向かって勉強そっちのけで努力する。そこでは別の困難な目標が待ち構えていて、偏差値の高い学校に入学したことが、必ずしも最適ではなかったことを思い知る。
成人を迎えるころに少し人生が見えてくると、その先に希望があるか絶望があるのか、仕事人生は4年では卒業できない。長い灰色の社会人生活へ強制的に参入しなければならない、就職するとき私はそう感じた。
就職をしたら、たとえば仕事が営業職なら、営業目標、営業成績に追われる日々が続く。「結果がすべてだ」とリーダーは鼓舞する。時には手段を択ばないこともあるかもしれない。課長には上司がいて、部長や支店長だって上に役員がいる。役員は社長がいて、社長は株主や社会が見張っている。どの立場にいても、常に目標達成に向け総力をあげなければならないのが宿命だ。成果主義人事が導入され、目標達成率が給与や昇進に直結する。目標のために何をするのか、PDCAで管理される。素晴らしいプランをつくっても、プロセスが正しくても、結局最終評価は目標達成率だ。
目標に向かって進むけれど、それは最終のゴールではない。どこまで追求すればよいのか、真の目標とは何だろうか。私たちは何を目指しているのだろうか。
昨年の東京オリンピック、水泳の個人メドレー2種目で金メダルを獲得した大橋由依選手を覚えておられるだろう。スポーツ選手にとっての最終目標は、オリンピックの金メダルだろう。だから金メダルを取って引退する選手も多い。
大橋選手の最近のインタビュー記事を読んで気づいたことがある。彼女は長年極度の貧血に悩まされ、成績も伸びずに平井コーチに何度もやめたいと言っていたそうだ。だからこそ大橋選手にとって、金メダルは最高のゴールのはずだ。長きにわたる過酷な練習を積んで、逆境を乗り超えてようやく手にした最高の結果だ。次のパリでは体力的な峠を越えているかもしれないから、もうここで満足してもよいと思う。もはやきつい練習は出来ないと、燃え尽き症候群になる選手も多いにもかかわらず、大橋選手はそうはならなかった。
「今回メダルを取れなかったらやめていたと思います。でも、最高の結果になりました。しかし五輪の200メートル個人メドレーの決勝を終えて、『これは人生最後のレースではない』と思えたのです。体のバランスを整えたりしたら、もっと速く泳げると思いました」
このコメントは少し意外に聞こえるが、伝わってくるワクワク感に私は深く納得してしまった。東京オリンピックで優勝したあとに彼女に見えたもの、金メダルは最終ゴールではなかった。本当の目標は自分の納得できる泳ぎを追求することだと気づいた。練習を工夫すればさらにレベルアップした泳ぎができるはず。長く続く過酷な練習というプロセスが待っているのにもかかわらず。金メダルすら最終目標ではなくなったのだ。
では振り返って、私たちにとってのゴールとは何だろう。何が活動へのモチベーションを高めるだろうか。会社や上司が設定した目標ではないことは明らかだ。報酬や昇給がモチベーション維持にはつながらないことは証明されている。
トップアスリートが教えてくれるのは、真に目指すべきは結果ではなく、そこに至るプロセスだということ。
営業目標の達成はゴールではなく、重要なのは、そこを目指すプロセスそのもの。目標とはプロセスを極めるための材料に過ぎない。
目標は、プロセス。創意工夫を繰り返す活動、そのものが目指すべきもの。そして、内発的な動機づけだけが、自らを高めるプロセスを創造できる。
たぶん一流だけが、プロセスの苦しさを「楽しむ」ことができるのだろう。
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