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コラム

コラム 賢人の思考 ~謙虚に耳を傾けることが先決、思い込みは禁物~

賢人の思考

今回は八星篤先生に「謙虚に耳を傾けることが先決、思い込みは禁物」というテーマにコラムを書いていただきました。

私もついつい自分のことを話してしまい、時々内省することがあります。

「神様がわたしたちに耳を二つ、口を一つくださったのは、少しでも相手から多くの話を聴いて、自分は少ししか話さないようにするためだ」と言った哲学者ゼノンの言葉を想い出します。

八星先生のコラムを読み、改めて傾聴の大切さを感じました。みなさんもぜひご一読ください。

 

○つくだ社会科学研究所ホームページURL

https://www.8-star.jp/index.html

 

○著者

つくだ社会科学研究所

代表 八星 篤(はちぼし あつし)氏

八星 篤氏

 

1972年 東京大学経済学部卒業

1972年 第一勧業銀行入行
1996年 広報部長
1997年 企画室長
1998年 横浜支店長
2000年 執行役員調査室長 兼 第一勧銀総合研究所専務取締役
2002年 みずほ銀行執行役員調査部長 兼 みずほ総合研究所専務取締役 
同年 みずほ銀行退職
2003年 株式会社サカタのタネ監査役(社外)就任
2008年 株式会社サカタのタネ取締役(社外)就任
2013年 株式会社サカタのタネ取締役辞任
現在、危機管理、経済・金融等の講演・研修活動に従事

 

八星 篤 先生は、高杉良 著『金融腐食列島 呪縛』で登場する複数の主人公の一人と言われています(第一勧業銀行総会屋事件時の広報部長時代がモデル)

八星先生がモデルとなっている映画はこちら(下記URL)

https://movies.yahoo.co.jp/movie/161694/story/

 

 

○テーマ:謙虚に耳を傾けることが先決、思い込みは禁物

 

東日本大震災が私の研修内容を変更する際の大きな教訓となりました。今回はそれについてお話します。

新型コロナ肺炎の蔓延以降「新しい日常の確立」が必要だという言葉を聞く機会が多いですが、それぞれの立場から、様々なことが言われており、あることを実現させるためには、別の事柄を同時に実施しなければならない等総合的なバランスを保って調整する機能が働かないと、不平等の拡大などの新たな問題が生じる危険性があります。特に、個人の行動に関しては、それぞれの状況が千差万別なことに留意しなければならず、これが「新しい日常だ」と一律に強制するものではありません。

 

一方で、自分自身では大きな変化を遂げたつもりでも、周囲から冷静にみると従来と殆ど変わらないこともあります。これに関連して、私は、東日本大震災の後の危機管理・危機対応の講演・編集活動での、変化したつもりの失敗を思い出します。

東日本大震災直後から、講演・研修では自然災害に対する危機管理・対応の項目を取り入れ、自分としては講演内容を一新したつもりでいました。しかし、実際には、報道などで知ったことを項目に並べて話をしていたにすぎなかったのです。そのことを知らされたのは、震災から1年後、直接、津波や地震により大きな被害を受けた銀行の管理職の研修を行っている最中でした。他の研修項目とは異なり、危機管理・対応についての研修は、明らかに受講者の方々の反応が薄い、どちらかと言えば冷ややかなことに気が付きました。

その時、私は銀行の支店長の際の部下との面談を思い出しました。面談だから部下の意見を幅広く聞くと言いながら、実際には私が自分の考えをとうとうと述ました。部下は黙って聞いているだけであり、彼らの実情や私に対する意見は一切ありませんでした。本当に彼らの本音を聴きたいのであれば、彼らの話を聴くことに専念して、どんな話にも決して口を挟まず、私は耳を傾ける姿勢を徹底しなければならないのにそれが出来なかったからでした。

この研修でも、私は同じようなことを繰り返していました。

 

そこで・・・研修の休憩時間に同席していた人事部の研修担当者に研修内容を急遽変更したいという話をしました。「震災から、まだ1年しかたっておらず、受講者は様々な思いを持っている。それを受講者間で共有することが、この研修では最も重要だと今、感じた。だから、この後の時間は、皆さんの体験、思いを語って頂く時間にしたい。」と言ったところ、研修担当者も被災者の一人として「それは理解できる。任せる。」と言ってくれました。

研修を再開した時に、「私は予定を変更して、東日本大震災での皆さんの体験と今感じていることをそれぞれお話して頂くことにする。」と申し上げました。

このテーマだけに誰も口火を切ろうとする方はいませんでしたので、私はこれまで積極的に発言され、しかも津波の被害を直接受け、支店も自宅も流された女性管理職を指名しました。彼女も最初はためらっていましたが、やがて語り始めました。語り始めると次から次に思いが募ったようで、強烈な地震の後、支店長から特段の指示はなかったけれども、地元生まれで地震の後は必ず津波が来ることを確信していた彼女は、部下にも山に向かって逃げるよう指示し、自身も即座に逃げたことを話してくれました。

皆、てんでんに逃げ、やがて1人になった彼女は山の中を一晩中制服とハイヒールで寒さと痛さをこらえながら、彷徨い、翌日避難所で家族と会えた時に初めて助かったと思ったそうです。今は、避難所から被災を免れた支店へ通勤し、通帳や印鑑をなくした被災者への預金の払い出しを担当しているが、同じ被災者として厳しい事情はよく分かるので、出来るだけ払戻しが出来るように対応している。もちろん詐欺もあるかもしれないが、99%はそうではないので、あまり規則に縛られないようにしていると言いました。これが皮切りとなり、次々と受講者から生々しい体験や震災後に支店を継続していく上で苦労したことが語られました。

 

驚いたことに受講者20人余りの中で津波にさらわれて九死に一生を得た方が3名もいたことでした。しかも、事情はほぼ同じでした。「管理職だったので、当時の規則通り重要書類を金庫にしまってから逃げた。この一瞬の遅れで津波に巻き込まれたが、流木などに捕まることが出来て命は助かったが、運が良かったの一言に尽きると思う。確かに金庫は流されずに残っていたが、命を懸けて保管した書類は水に漬かって使い物にならなかった。地震の後は必ず津波が来る。何をおいてもまず逃げて命を守ることが最も大切だと身に染みているので、このことは今後も後輩に言い伝えていきたい。」と口をそろえて仰っていました(私は、今は自然災害等の場合は何を差し置いても、すぐ逃げろというのが、どの企業でも規則・マニュアルになっていますが、何十年たってもそれがルールとして続いていくためには、訓練と教育の繰り返しが不可欠だと思います)。

 

直接、津波の被害を受けなかった支店でも、支店の活動を最低限維持していくために様々な苦労があったようです。親族に行方不明者がいる行員、自宅を失い避難所から通勤している行員の心のケア(管理職自身もそうだったので余計つらかったと言う方もいました)、道路網や鉄道網が分断されている中での必要人員の確保、支店での業務のために必要な物資、例えば飲料水、生活用水やガソリン等の確保(生活用水は川からバケツで汲んできたそうです)、本部との通信がうまくいかず、公衆電話を通じて残高確認を行ったこと等仰られたことを数え上げればきりがありません。

 

今は現場だが、1年前は本部におられた方もいらっしゃいました。本部でも、全体の安否確認、通信回線の復旧、現金の輸送等でご苦労されていたようですが、異口同音に「今日、改めて現場の話を聞いて、本部とは比べ物にならないと感じた。現場のためにと言いつつ、どうしても本部の立場からの思い込みや押しつけになりがちな事を認識した。現場優先はマニュアルでもそうなっているが、実際に現場の立場に立って、現場に任せることの重要性を痛感した。」と仰いました。

 

私自身も、皆さんのお話を伺って、自分のこれまでの認識を大きく改める機会を頂戴しました。この後、危機管理・危機対応の研修や講演の中で、この時に伺ったお話をお伝えするとともに、必ず、受講者や聴衆の皆さんの東日本大震災の体験をお聴きする時間を設けるようにしました。そこで得られる教訓は私にとっての得難い財産になりました。

2020年6月25日の朝、千葉県旭市を中心に震度5弱の地震がありました。旭市は東日本大震災による津波被害で死亡された方もいらっしゃるところですが、この地震が9年以上前の東日本大震災の余震だというニュースには驚かせられました。

新型コロナ肺炎もそうでしょうが、自然災害等は我々が持つ日頃考える時間軸とは大きく異なることを認識しておく必要があると思います。

 

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