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コラム 賢人の思考 ~働き方の変化の先にある未来について~
2020.07.06
2020.07.06
社会保険労務士で人事コンサルタントの小山貴子先生に「働き方の変化の先にある未来について」というテーマでコラムを書いてもらいました。
わたしも今、ZOOMやteamsなどのオンライン・ツールを使って、ステークホルダーのみなさまとコミュニケーションを行っています。確かに初めは抵抗感がありましたが、慣れてきますと対話のツールとして活用できることがわかってきました。今までの電話・FAX・メールといった限られたコミュニケーションではなく、オンライン・ツールを活用してもっとコミュニケーションの幅を拡げていきたいと考えております。
私は依然からWEBマーケティングをはじめ、IT活用に取り組んでまいりましたが、やっと時代が追いついてきたように思えます。
弊社は新型コロナをピンチではなく、チャンス(機会)に変えていきます。
小山先生はコラムに変化に必要な概念が書かれていますので、みなさまもぜひご一読ください。
【著者】
社会保険労務士事務所フォーアンド
代表 小山 貴子(こやま たかこ) 氏
【略歴】
1992年、株式会社リクルートにて、創刊したばかりの求人誌「ガテン」の営業を皮切りに、個人事業主から上場企業まで、主に求人広告の営業マンとして12年勤務。その後、ベンチャー企業の立ち上げに参加。社会保険労務士試験合格を機に、事務所勤務を経て独立。現在は、中小企業の人事(“採用”“教育・育成”“労務”)の伴奏者として勤しむ。社労士事務所の代表、人事コンサル会社の代表取締役、上場会社の非常勤監査役、一般社団法人ワークデザインラボ・パートナー、東京都中小企業振興公社・創業ステーション専門相談員等。
社会保険労務士事務所フォーアンド ホームページURL
テーマ : 働き方の変化の先にある未来について
ここ3か月の働く環境の変化には目を見張るものがあります。
毎月投稿のご依頼をいただいている新聞社があるのですが、3月の投稿には「何十年後かには『2020年に働き方の転機を迎えた』という話になるかもしれない」と書かせていただきました。そこから2か月しか経っていませんが、既にその確信を得られる状況となりました。
緊急事態宣言が解除され、beforeコロナの働き方はある程度戻ってきそうではありますが、以前の通りには戻らないでしょう。以前から満員電車での通勤に関しては時差出勤やテレワークが推奨されていましたし、役所の印鑑文化には異議が唱えられていましたが、それが変わることはなかなかありませんでした。人は現状を変えたくないものです。今までもやれば出来たことですが、やらざるを得ない状況になって初めて、企業と人々の生活は強制的にデジタルシフトに迫られました。その強制力に戸惑いながらも、「やろうと思えばできるじゃないか!」を実感している方が多数いらっしゃることと思います。その心地よさや合理性を享受した人たちは以前に戻りたいとは思わないでしょう。
生産性本部が5月中旬に発表した、働く人の意識がどう変わったかを調査した内容の中に「収束後もテレワークを続けたいか」という質問があります。「そう思う」が24・3%、「どちらかといえばそう思う」38・4%で前向きな意向が6割を超えました。また、在宅勤務に満足しているか尋ねた結果、「満足」18・8%、「どちらかといえば満足」38・2%。程度の差はあれ、6割弱は満足と感じているよう。一方、在宅勤務で仕事の効率が上がったかは、「上がった」「やや上がった」を合わせて33・8%。逆に、「やや下がった」「下がった」は計66・2%と期待通りの成果を挙げられていないと感じている人が多いのです(※1)。
2か月後にも同じような調査をしたら、今度はどうなるか?是非とも「効率が上がった」の数値が上がっていることを願いたいものです。
このような調査を見てみても、新型コロナは組織に「遠心力と求心力」を生み出したように思います。「遠心力」とは、物理的に働く場がみなで一緒に職場ではなくリモートで疎結合し密接な関係からゆるやかな結合へと変化した力。一体感やチーム力は損なわれて、仕事の効率は下がった部分もあると思います。同じ空間にいた時よりも他の人の仕事のプロセスが見えづらく、結果主義になりつつあるでしょう。弊社にも先月から「人事制度を変える必要がある」というご相談が来るようになりました。そして、複業登録サイトの登録者が一気に増えているという事実も見逃せません。
もう一つの重要な力である「求心力」とは、「困難な時期だからこそ助け合おう、皆で協力して乗り越えよう」という日本に根付いた意識の力が発揮されている様子も見聞きします。
日本には100年以上続く企業が3万社以上もあり、世界でも類を見ない数の長寿企業が存在します。これらの会社は大正時代以前に創業し、3年後に関東大震災を経験。その後も戦中はもちろん、戦後も含めて、“戦争”という環境に翻弄されたことでしょう。昭和、平成、令和・・・さまざまな困難、戦争、そして自然災害、経済危機、すべてを乗り越えてきたことになります。存続した鍵は、どの危機に対しても前述の「求心力」が勝った結果だといえるでしょう。
今回の危機は誰も経験したことがないものだとする考えもありますが、100年前に流行したスペイン風邪は、日本人の4割が感染。3度の波があり、2年半にわたって続いたといいます。先の見えない今は、次の新しい日常のための準備をする時ではないでしょうか。いぜんのように仕事ができなくなったと嘆くことなかれ。「求心力」を信じて、今だからこそやれることがたくさんあるはずです。
個人的には、この「求心力」の確認を組織でやる意義があると感じています。一人で考えたり、同じ年代・同じ性別・同じ思考の人たちだけでコミュニケーションしたりするには限界を感じている方々も多いと思います。対面原則の旧来型の価値観も変わり、テレワークが働き方の標準になる可能性が高く、新しい時代の新しい価値観で働く、新しい世代に有利な(活躍できる)時代がやってきます。
最後に、私が大事にしたいと思っている二つの概念のお話を・・・
ひとつは「スペキュラティブデザイン」(スペキュラティブとは日本語で「思索」という意味)。スペキュラティブデザインは「未来はこうもありえるのではないか」という憶測を提示し、問いを創造するデザインの方法論(※2)。問題解決型のように「未来はこうあるべきだ」と提唱するのではなく、この先に見えない時代、世の中の価値や信念、態度を疑って、「もしもこんな未来が訪れたら?」という問いをしてみることに価値があるように思います。
もうひとつは「ポジティブ・ケイパビリティ」(ケイパビリティとは日本語でいう「組織的な能力」という意味)。こちらは「問題に対する方策や手立てを素早く見つけて解決への道筋をつける」こと。学校や職場において、とりわけその能力が推奨されていることはご存知の通りです。しかし、こればかりだと他者に対する<不寛容さ>が助長されてしまう部分もあります。SNSで著名人などの些細な言動を痛烈に批判することは、これが行き過ぎた結果でしょう。
今、私たちに必要なのはその反対の言葉、即ち“ネガティブ・ケイパビリティ”「容易に答えの出ない状況を回避せず、それに耐えて共感を培う能力」ではないでしょうか。この“決めつけない力”が成熟した暁には、<寛容さ>と<謙虚さ>に満ちた人がたくさんな社会になっているはずです。
※1:(出典)産経新聞 2020.5.24 18:53 WEB版、「新型コロナ収束後も「テレワーク続けたい」6割超 生産性本部調査」、https://www.sankei.com/economy/news/200524/ecn2005240002-n1.htm [2020年6月2日閲覧]
※2:(出典)ウィキペディア、「スペキュラティブデザイン」、https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%A9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%96%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3 [2020年6月2日閲覧]
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