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コラム 賢人の思考 ~ 近年話題のライフ・ワークバランス 介護離職を考える その10 ~
2025.07.28
2025.07.28
新野 緒 氏に10回にわたり「近年話題のライフ・ワークバランス~介護離職を考える~」というテーマで連載コラムを書いていただきましたが、今回が最終回となります。
最終回は「循環する」というテーマでコラムを書いていただきました。
当社でもサーキュラーエコノミーといって、循環型経済へ社業を通じて貢献することを目指しています。
社会全体がそれを行うために、どのような事がきっかけになるのかをこのコラムは気づかせてくれます。
ぜひ読んでみてください。
新野 緒 NIINO HAIJME 東都三軒茶屋リハビリテーション病院 医療相談員(社会福祉士)
JALグループ(株)JSS総合危機管理サービスコンサルティング事業本部での勤務を経て、1998年に東京掖済会病院医療ソーシャルワーカーとして福祉業界に飛び込む。東都三軒茶屋リハビリテーション病院 医療相談員。岡崎人事コンサルタント講師、株式会社Leaf音楽療法センター非常勤講師。
明治薬科大学、日本大学経済学部、中央大学、立正大学、職業能力訓練大学校などでの講師実績多数。介護・医療経営専門誌である日総研出版「介護人財」「地域包括ケアを担うケアマネ&相談員」「地域包括ケア時代の通所&施設マネジメント」に連載・寄稿多数。
Web版「介護人財」にて「医療福祉の次世代成長を狙う技術革新20年戦略」を好評20回連載中。
明治薬科大学、日本大学経済学部、中央大学、立正大学、職業能力訓練大学校などでの講師実績多数。介護・医療経営専門誌である日総研出版「介護人財」「地域包括ケアを担うケアマネ&相談員」「地域包括ケア時代の通所&施設マネジメント」に連載・寄稿多数。
Web版「介護人財」にて「医療福祉の次世代成長を狙う技術革新20年戦略」を好評20回連載中。
近年話題のライフ・ワークバランス~介護離職を考える~その10
今回は最終回として、介護離職を防ぐ国土利用について話します。お釈迦様の話で言えば「輪廻転生」、つまり「循環する」ということがテーマとなります。
このコラムの読者の皆さんは、有人火星移住まで視野に入れたアルテミス計画をご存知でしょうか。この宇宙進出の計画で日本は、生命維持システム(ECLSS)を担当します。乗組員の吸う空気、飲み水といったリサイクル技術が生命維持の中枢を握っている最重要な部分です。これからの時代は、二酸化炭素も含めリサイクルが全ての社会システムに組み込まれてゆきます。
過酷な宇宙での長期使用に耐え、リサイクルが前提である最新鋭の宇宙技術を応用すれば、簡単に建設や撤去ができるように建物、道路、通信環境、田園など再設計して作り込み、最先端の生活環境を定期的にリニューアルする生活も理論上可能です。
日本は国土の75%が山岳地帯で、わずかな平地の扇状地にほとんどの人口が集中居住しています。本来は扇状地で生活しようとすれば、河川が運ぶ土砂が積み上がり土地の高低差が変化して行くので、数十年から100年単位で住む場所を変える必要があります。平地の高めな安全な部分に定期的に移住して、耕作地も流水路に沿わせて常に変える必要があります。
世の中には私より頭の良い人が大量にいますので、前述したようなことは当たり前のように判っていて政府で働いています。しかし実際には、このような土地利用にはなっていません。どうしてでしょうか。
前述のような自然に逆らわない合理的な土地利用を出来なくしているのは、墾田永年私財法以来の1300年に及ぶ土地私有制度と、最適な開発構想でのシミュレーション精度の低さです。
人間は、自分たちで思っている以上に非合理で単純で感情的な存在なので、数千万人に影響するような制度を導入しようとすれば、影響が大き過ぎて失敗は許されません。シミュレーション精度が低くかったりして、修正程度が発生しただけで非難轟々です。
2008年に日本の人口は1億2800万人の最高値を記録し、2024年までに人口は300万人減少しました。しかし、パッチワークのように空き家が増えるばかりで、津波や高波、地震の液状化、豪雨で水が集中流入し、大被害が確実な都会の人気エリアに大金をかけて高層ビルやマンションが建てられ続けています。この状況は、遅かれ早かれ痛みを伴う限界を迎えます。
「その3」でも取り上げたように、南海トラフ巨大地震に連動する地震や連動噴火、温暖化での超巨大台風の発生確率が急上昇しているからです。
一方で、東日本大震災には間に合わなかったマイナンバーカードの普及、政府システムでのデジタルデータ化の進展と、スーパーコンピュータによるシミュレーション力の向上が国土の最適利用の実現を可能にしつつあります。
さらに人口が減れば税収も減ります。日本は憲法で最低限の国民生活を保障することが約束されていますが、今まで以上に生活保護者や災害被害者を金銭援助することはできなくなります。大都市を解体するためには、土地の所有権や使用権の制限を行うことが必須です。その代償として土地を再配分し、小さくとも家庭菜園を伴い電力を自給する生活を国民の標準として最低限の生活ができるようにして、困窮者を金銭以外でも支援し国民の生活保障とするのです。
そして、田園生活の最適分配が「その9」で取り上げたように介護予防、災害や戦争時の国民の持久力を飛躍的に向上させることに役立ちます。
ここまで書くと「そこまで状況も整ってきているなら、早くやればいいじゃないか」と言われそうですが、好適地にすでに住んでいる住民が立ち退きに簡単に同意するはずもありません。「何を言う!先祖伝来の土地を手放せと言うのか」と言うわけです。
非常にわかりやすい“共通の納得感”がなければ、大きな財産である土地を取り上げられるような再開発など反発が大き過ぎて出来ません。
共通の納得感とは、東日本大震災のような日本全体の半分のような広域で発生した共通の被害体験といったものです。つまりこのようなことが導入されるとすれば、南海トラフ巨大地震での復興タイミングとなります。
巨大災害に対応するための国内再編への準備は、政府のあちこちで進んでいます。
国土交通省では減災のため助成金をつけて立地適正化への誘導を進め、令和6年には土地の相続登記が義務付けられました。分野は違いますが、2025年夏までに政府内では経済安全保障法に基づき、基幹インフラを守る場合に感染症拡大やサイバー攻撃への対策で、一時的に土地や建物を国有化し、最適化した上で国の事業として民間に委託する法律が検討(注1)されます。
サイバー分野で再編が進めば、竹下産業さんが得意であるデジタル機器の安全な廃棄ニーズが高まることになるでしょう。近未来で日本列島改造が行われる時代の萌芽が、前述のような動きには感じとれるのです。
今回はここまでにいたします。コラム欄でまたお呼びがかかることがあれば、この続きをお話しましょう。
注1)
日本経済新聞 2024年12月24日 4面 「医療を基幹インフラに」
サイバー防御、重要物資工場、国が買収も
注1)
講談社現代新書 小林武彦 著 「なぜヒトだけが老いるのか」
〜人間以外の生物は老いずに死ぬ。ヒトだけが獲得した「長い老後」には重要な意味があった〜
注2)
講談社 鬼頭 宏 著 日本の歴史19 「文明としての江戸システム」
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