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テーマ ~ 現代版「百姓」のリアル その6 ~

賢人の思考

 

 

金子さんに「現代版「百姓」のリアル」というテーマで第6回までコラムを書いていただきました。当テーマのコラムは最終回となります。金子さんが農業経営者として今後も活躍されることを祈念しております。金子さんには、また別のテーマでコラムを書いてもらおうと思います。ぜひご一読ください。

 

執筆者プロフィール 金子 栄治郎 / Kaneko Eijirou

Universal Agriculture Support 合同会社 代表社員

キャリアコンサルタント

 

都会である横浜市青葉区に農地2ヘクタールある16代つづく金子農園の後継者。

2004年から家業に入って10年間イチゴ栽培を行い、神奈川県いちご連合会品評会にて2010年いちご連会長賞、2012年神奈川県議会議長賞受賞。現在は農業や農福連携などのコンサルタントとして活躍する傍ら、自社農園でミニトマト「みのりっち」など、様々な野菜や果実の半自動管理や知的障碍者の人たちと一緒に収穫作業を行う農福連携を実践中。

テーマ ~ 現代版「百姓」のリアル その6 ~

今回は私がこれから取り組んでいきたい仕事を考えてみたいと思います。

 

企業が法定雇用率を達成することで多様な社会構築に繋がるよう、農業で障碍者の方々が活躍できるフィールド作りに貢献したいと考えています。この事業に取り組むことで「農業」という仕事の価値が上がります。具体的には、農地に人を呼び込むことで、生産物を販売する以外の収入が農業者に生まれます。生産物を販売する以外の収入を得るということは農業者も「農作業だけをやっていればいい」という状態を打開する必要があります。自分自身の仕事を「何のためにやっているのか?」と突き詰めて、再定義する必要があります。

 

ここで「三人のレンガ職人」という話をご紹介します。三人のレンガ職人の話は、仕事そのものよりも「仕事をどう捉えるか」が重要であることを教える寓話です。同じ現場で同じ作業をしていても、職人たちの意識は大きく異なります。

 

一人目は「言われた通りにレンガを積んでいる」と答え、目の前の作業だけを仕事と考えている。

二人目は「人が住む家を建てている」と述べ、自分の作業の目的を理解している。

三人目は「家族が安心して暮らせる街をつくっている」と語り、自分の仕事が社会に与える価値や未来まで見据えている。

 

この違いは能力や経験の差ではなく、仕事の意味づけの差です。

仕事を広い視点で捉えることで、主体性や誇りが生まれ、行動や成果の質も高まる。この考え方は、働き方の改善だけでなく、人材育成や組織づくりにも活かすことができ、個人と組織の成長につながる重要な視点であると言われています。

 

日々の仕事を上記したどの職人の意識で過ごすのか。日々の仕事で他業種と人との出会いを「余計な仕事」と捉えるのか、「新しいご縁」と捉えるのかで明日の一歩は大きく変わります。農業者の場合、「村社会」に捉われてしまいがちなので、自分から他地域に出向くとか他業種の友人や知人と交流を持つという動きを自ら作っていく必要があると考えます。

 

「事業は人ありき」と言われます。松下電機創業者である松下幸之助の考え方で説明すると、事業の中心に常に人が存在し、人を活かすことこそが経営の要であるという意味になります。松下は、経営者の役割は利益を上げることだけではなく、人を育て、持ち味を引き出し、社会に役立つ人材を世に送り出すことだと説きました。設備や資金、制度は大切だが、それらを正しく使いこなすのは人であり、人の成長なくして事業の発展はないと考えたからです。人を信じ、任せ、育てることを積み重ねた結果として、事業は自然と大きくなり、社会への貢献も果たされるのです。

 

これからの農業者は、家族経営中心の「農家」から事業として農業を維持発展させていく「農業経営者」に成長していく必要があると思います。全員がなる必要は無く、「農家」のままで維持することももちろん必要です。言いたいことは「農業経営者」になろうとしている人の足を引っ張らないで享受できる心を持って欲しいということです。

 

そうすることでその人の「家」にも必ず恩恵があります。農業という仕事は時には世代を超えて臨まなければならない時もあります。「家」という単位で次世代に引き継ぐ意識を持ちながら農業に従事したいところです。

 

これまでコラムをご愛読いただきありがとうございました。お声掛けいただきました、竹下産業株式会社の竹下敏史社長様、ありがとうございました。私の今後の目標を最後にお伝えしてこのコラムを終えたいと思います。

 

「60歳までに全国で10か所の農場に関わって、視察を会社の経費で行い、ついでに旅行しながらたくさんの方と出会い、仁の種をまく」というのが、当面の私の目標です。

 

この目標を達成するためにありとあらゆる経営資源を活用して実績を積み上げていっています。

「仁」とは、儒教において最も大切とされる徳目で、他者を思いやり、共に生きようとする心を意味しています。自分だけの利益を優先するのではなく、相手の立場に立って考え、行動する姿勢です。

 

孔子は仁を、人との関係の中で実践されるものと考え、日常の言動や判断に表れると説きました。仁を持つことで信頼が生まれ、家庭や組織、社会が安定し、長く続く基盤となると考えました。皆さんもぜひ「仁」を意識して日々過ごしていただけるといいことがあるのではないかと思います。

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