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マネジメントのすゝめ 「レジリエンスが苦悩から逃れる手段となる」
2026.08.10

2026.08.10

今回の連載コラム『マネジメントのすゝめ』は、「レジリエンス=精神的回復力」について大森英直氏にご執筆いただきました。
当コラムが皆様の悩みを解消し、前向きな日々を過ごせる一助となれば幸いです。

リスクブランディング株式会社 代表取締役
事業創造大学院、開志専門職大学 非常勤講師(専門 リスクマネジメント)
1972年広島県呉市生まれ 立教大学大学院(MBA)修了
セコム株式会社・AIG損害保険株式会社で法人営業、医療・介護事業上場企業にて事業戦略・人材戦略部門などに従事。2022年にリスクブランディング株式会社を創業する。
現在、竹下産業株式会社をはじめ上場企業を含む複数の企業で顧問を務める。
私がマネジメントについて講義をしている社会人大学院の受講生から「部下や後輩をマネジメントしている私自身が精神的に疲れ果ててしまっています。どうしたらこの苦しみから逃れることができるのでしょうか?」と質問されることが度々あります。
そこで、私がこれまでに学んだ苦悩からの逃れ方について解説したいと思います。
~ 目次
1.レジリエンス=精神的回復力とは
はじめに、レジリエンスとは何か。
「レジリエンス」は日本語で「精神的回復力」と訳され、困難な局面から元の安定した状態へしなやかに立ち直る力を意味し、 “弓弦(ゆみづる)” に例えて説明されることがよくあります。
弓弦はずっと張り続けているといつかぷつりと切れてしまう。これを人に例えるなら、ストレスに飲み込まれ、精神的な限界を超えて満身創痍になってしまった状態です。
大きな悩みを抱えた時こそ、弓弦を張り続けるような緊張状態からゆっくりと手を離し、元の安定した精神状態の回復に向けてコントロールしていくことがレジリエンスの考え方です。
そして、それを可能とする前提条件として「悩むことは良いことだ」と捉えることが重要だと私は考えています。
「人間のすべての悩みは対人関係の悩みである」とは精神科医であり心理学者でもあるアルフレッド・アドラーの有名な言葉ですが、皆様が抱えている悩みの多くも対人関係にまつわるものが大半ではないでしょうか。
かくいう私も対人関係の悩みには多くの時間を費やしてきましたが、今となってはこうして安定した心を取り戻す方法を知る機会にもなり、それらの苦しい日々も決して無駄な時間ではなかったように思えます。
悩みをただ苦しいだけではない、成長や気づきを得る貴重な機会のひとつだと捉え直してみることが、その先の人生を豊かなものにする「心の羅針盤」になるのではないかと私は考えています。
2.私が気づいた苦悩からの逃れ方
では、具体的にどうすれば苦悩から逃れることができるのか?
これまでの私自身の経験および学びから得た方法をご紹介したいと思います。
ブッダの教えの「執着を手放す」、これが人を苦悩から解き放つ第一歩につながると考えています。執着とは、思い通りにしたいという「囚われの心」を指しますが、人の苦しみの原因となっている執着をどうやったら手放せるのか、以下の3つに分けて解説していきます。
その① 諦める
まずは執着を「諦める」ことです。
諦めるの語源は「明らむ」で、明らむとは、自分の悩みをまずはっきりとさせて捨てる・無視するように意識を向けることです。
自分を変えることは出来ても、他人や周りの物事を変えることは到底不可能です。ですから早々に「諦める」ことで、自らに意識を集中します。
その② 動く
次に、身体を動かすことで一旦苦悩から離れ、心を整えてください。
身体を動かすと血流が良くなり、自律神経(注)が整います。人間の心と体は心身相関(しんしんそうかん)という仕組みで深く結びつき、自律神経は心と体の架け橋となっているため、自律神経を整えることで自然と精神(メンタル)も整います。
短時間でもいいので散歩や簡単なストレッチをする、好きな音楽を聴く、好きな食べ物や香りを楽しんだりと、楽な気持ちで五感を刺激し、まずは身体を動かすよう努めてください。
その③ 自分を愛する
最後に、「自分を認める」「自分を肯定する」「自分を誉めて励ます」ように心がけてみてください。それが自分自身を愛することにつながります。
自分を認めることができると「他者に求めなくなる」ため、他者への執着を手放せます。今の自分を肯定できれば「こうあるべき」という理想への執着を手放せます。そして自分を誉め・励ますことで、「終わったこと」として過去の執着を手放すことが出来ます。
もしあなたが心の中で自分を責める言葉を投げかけてしまったら、その10倍自分を認め、肯定し、誉めて励ます言葉を自分へ投げかけるようにしてください。そのようにして自分を愛することを習慣にしてください。
社会心理学・精神分析・哲学の研究者であるエーリヒ・ゼーリヒマン・フロムは、「自分自身を愛することと他人を愛することとは、不可分の関係にあるのだ。自分自身を「信じている」ものだけが、他人に対して誠実になれる。」と述べていますが、悩み苦しむ多くの人は他人を優先するあまり、自分に厳しい人が多いように感じます。
そこでまずは自分に優しくしていただく。フロムの言葉通り私自身も「自分を大切に出来た人が、他人をも大切に出来る」と信じているからです。
悩みの大きさとそれらから得る学びの大きさは比例し、それが成長につながります。
まず悩みは成長の糧であると肯定してください。そして諦め・動き・自分を愛することを習慣にしていただくことで、訪れる悩みを一つずつ乗り越えていただきたいと思います。
レジリエンス=精神的回復力を知ることで、読者の皆様が心安らかな幸せな日々を過ごせるよう願っております。
(注)自律神経とは、私たちが意識して動かすことができない心拍・呼吸・消化・体温調節などの生命維持を24時間自動的にコントロールしている神経を指します。
[参考文献]
横尾忠則、2026、「運命まかせ」、新潮新書、pp.91-94/pp.100-103

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