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コラム 賢人の思考 ~ 近年話題のライフ・ワークバランス 介護離職を考える その2 ~
2024.03.11
2024.03.11
前回に続き、“介護離職”をテーマに新野 緒(にいの はじめ)さんにコラムを書いてもらいました。これからどのくらい労働人口が爆縮するのか?を読んでいただければイメージできると思います。
新野 緒NIINO HAIJME 介護老人保健施設 うなね杏霞苑 支援相談員
JALグループ(株)JSS総合危機管理サービスコンサルティング事業本部での勤務を経て、1998年に東京掖済会病院医療ソーシャルワーカーとして福祉業界に飛び込む。2003年より介護老人保健施設うなね杏霞苑支援相談員。岡崎人事コンサルタント講師、株式会社Leaf音楽療法センター非常勤講師。
明治薬科大学、日本大学経済学部、中央大学、立正大学、職業能力訓練大学校などでの講師実績多数。介護・医療経営専門誌である日総研出版「介護人財」「地域包括ケアを担うケアマネ&相談員」「地域包括ケア時代の通所&施設マネジメント」に連載・寄稿多数。
Web版「介護人財」にて「医療福祉の次世代成長を狙う技術革新20年戦略」を好評20回連載中。
近年話題のライフ・ワークバランス~介護離職を考える~その2
その1でどうして介護離職が問題になるのかを取り上げると言いました。「それは、人手不足だからだよ」と答えがすぐに返ってきそうですが、じつは労働人口は過去最高です。
2023年7月での日本の就業者数は6,712万人。コロナ前の2019年は、6,705万人だったのでそれを上回っているのです。にもかかわらず、人手不足感が高まっているのは、働き盛りの25~44歳の就業者が急速に減ってきているためです。2013年~2023年の10年間で290万人も少なくなっている。注1)
これを埋めているのが女性と高齢者のバイトパートタイマーなのです。しかし育児中の女性は時間的制約がありますし、高齢者は現役並みには肉体的に働けないので、フルタイム就業を避けがちです。つまり、労働力の減少を女性やシルバー人材で補うのも限界に達しているというのが現状なのです。
問題はこれから先です。2020年~2040年までの20年間で15歳~64歳の労働人口が1216万人減少するからです。
290万人減ってこの不足感ですが、現状の4倍の不足感となると、女性シルバー人材、外国人労働者を総動員しても到底追いつきません。
私はライフ・ワークバランスという言葉が好きではありません。この横文字には、キリスト教的な「労働が人間にとって、本来の生きる姿ではない」と言う“労働を低い価値に置くイメージ”がつきまとうからです。
「食べるために仕方なくやる作業と、自分らしく生きることを分けてどうバランスを取るか」なんて考えは、日本人の仕事感覚と少し違う。日本人にとって仕事は、社会の一員として貢献し、周りよりその貢献に対して敬意を持って扱われる。そういう自分に誇りある人生を与えるものだからです。単なる金銭的対価を得るだけの作業では無いのです。
労働人口の爆縮とも言うべき状況の中で、今後は1人で何役もこなす。そういうことを「地域社会を維持するために、お互いに敬意をもって肩寄せ合い支え合って生きていく時代」になるのです。
介護離職は昔からありました。それこそ1万年前に農耕社会が生まれて以来、老人の終末生活を支えるため、家族の中で子供の1人が(多くは長女が未婚のまま)お世話係を担うのが当たり前として行われてきたのです。それが大きく問題とされるのは、労働力の凄まじいまでの急減が、そのような自然発生的減少さえも許さないほどに厳しくなってきた証拠なのです。
つまり2024年時点で「介護離職問題を人生設計とともに考える」とは、人口の爆縮時代に自分が世の中の一員としてメインの仕事をこなしつつ、副業として地域社会の中で活躍し、家族の生活を支えるために介護で貢献、自分の老後のためにどう計画的に備えていくかを考えることなのなのです。
次回のその3では「介護離職問題を人生設計とともに考える」と、今後20年間でどんな問題を含んでいて、それへの備えをどう進めてゆかなければならないかを整理して行きましょう。
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